雑談(会話)力、コミュニケーションスキルが、小学生以下だった、大人の発達障害の私ですが、最近、雑談のコツをつかんだ気がしています。
これは、コミュニケーションスキルというような、表面的なものではなくて、もっと根本的なコミュニケーション力の芯の部分を支える心の在り方的なことなので、
ちょっと抽象的な表現になってしまうかもしれませんが、私はこれを心がけることで、コミュニケーションが圧倒的に楽になったと感じています。
目次
私の以前までのコミュニケーションレベル
私の以前のコミュニケーションレベルがどれくらい低かったかは、「生育歴」で説明してあるんですが、
簡単に言えば、相手の話に全く興味が持てず、共感できず、簡単な挨拶やちょっとした短い会話でさえも続けられない、といったレベルで、雑談なんてしようものなら苦痛で苦痛で、ストレスで寝込むぐらいでした。
その後、「大人の発達障害者ですが、会話力(雑談力)が多少発達した気がする。」で説明したように、短い会話や挨拶は多少できるようになったのですが、それでも雑談力が向上するまでにはなっていませんでした。
私が掴んだ雑談のコツ
自分の今の感情を全部言葉にして説明する
それは、どういった心の在り方かというと、
誰かと雑談をする必要がある時、筋道の通った話、起承転結のある話をしようとするのではなくて、
嬉しい、悲しい、楽しい、安心した
好き、嫌い
焦っている、困っている
言葉が見つからない、
何て言っていいかわからない
など何でもいいので、その時の自分の感情、心の中の状態を全部言葉にして説明する、全部外に出す、ということを心がける、というものです。
雑談のコツを発見したきっかけ
職場のコミュニケーション上手な人を観察した
なぜ、そんな方法を実行しようと思ったかというと、
職場に、誰とでもまんべんなく仲良くなれる、ものすごくコミュニケーションが上手な方がいたんですが、
その方をいつも観察していて、
ものすごく面白い話をするとか、話上手とか聞き上手、気遣い上手というわけではないのに、なんでこんなにみんなと仲良くなれるんだろう
といつも疑問に思っていました。
で、さらに観察していくと、話している時に、いつも、必ず自分の今の気持ちを説明している、ということに気付きました。
また、気持ちを説明してくれた瞬間、それを聞いた自分がなんとなく安心して心を開ける気持ちになっていることにも気づきました。
話上手じゃなくても、安心感を与えることが大事
そして思い返してみると、今までに色々な職場や学校で出会ったコミュニケーション上手な人って、必ずしも話し上手なわけではなくて、でも、なんとなくこちらに安心感を与えてくれる、こちらも心を開いて接することができる、という人が多かったな、と思ったのです。
つまり、コミュニケーションを上手にとり、人と仲良く、良好な関係を築くには、話し上手なスキルは必ずしも必須ではなく、それよりも、この人には心を開いても大丈夫だと思ってもらえるような安心感を与えることが重要なんじゃないかな、と思ったのです。
自分が心を開けば相手も心を開く、好循環が生まれる
そうした安心感が漂う雰囲気の中では、リラックスして話せるので、コミュニケーションしなきゃ!という焦燥感にかられることもなく、ゆったりした気持ちで話せますし、こちらが自分の気持ちを話すと、相手も自然と自分の気持ちを言葉にしてくれ、お互いに自分の気持ちを伝え合う、心を開いたコミュニケーションをすることができます。
そうすると、ただ自分の今の気持ちを言葉にするだけなので、
何を話そう
こんなつまんない話しちゃってどうしよう
なんて言ったらいいかわからない
興味がわかない
という苦しみを感じることなく、自然と会話が続き雑談が成立していくんです。
雑談のコツを実行した結果
これは私にとって、革命的な発見で、あんなに話が続かず雑談が恐怖だった私が、今では自分から話しかけることもあるぐらい、自分史上最高に雑談力が上がっています。
職場の方にも、
コミュニケーションが苦手なんて全然わかんないよ
なんて言われることもあるぐらい、今までの自分には考えられないような嬉しい言葉をもらえるまでになりました。
もちろん、自分の今の感情を逐一説明することで、なんとなく話が続けられるようになっただけで、話すスキルは今まで通り低いので、話上手になったわけではありません。
でも前述した通り、短い挨拶も、ちょっとした会話も続けられないような、よく話す幼稚園児にも劣るコミュニケーションレベルな私がここまで変われたのは、自分でもすごく驚きで、嬉しい変化でした。
具体的にはどうやればいいの?
「自分の今の感情を言葉で説明する」って言っても、
実際の会話の中でどうやって実行すればいいの?
って思う方もいると思うので、ここからは、実際にはどうやって実行すればいいのか、具体的に説明してみようと思います。
職場の同僚Aとの雑談の例(創作です。)
例えば、こんな感じで実行します。
A:「最近何かハマってることある?」
私:「最近は実はタロットカードにハマってるんです。もう今もやりたくてウズウズしてます。」
この例文では、以前の私だったら、「~にハマってるんです。」と質問に答えるだけで終わってしまって、相手も「そうなんだ~」で会話終了となって気まずい沈黙が流れることが多かったです。
それが、ただ質問に答えるだけでなく、その後ろに今の自分の素直な気持ちを説明することで、私の気持ちが伝わり、相手もなんとなく心を開いてくれたり、会話が続きやすくなったりします。
こうやって、ちょっとした今の自分の気持ちを説明することを、会話中に何度も繰り返していくと、いつのまにか話がはずんだり、笑顔で話せたりします。
他にも、
「ちょっと不安だけど頑張ってみます」
「今すごい動揺してるんで、ちょっとなんて言っていいかわからないんですけど…」
「そう言ってもらえるとすごい嬉しいです。安心しました。」
「Aさんと一緒だとすごく嬉しいです。今から楽しみです。」
といったように、ちょこちょこ感情の説明を加えるのもよくやります。
相手よりも先に自分が心を開くことが大事
とにかく、まず、相手よりも先に、自分の心の扉を開いておいて、自分の心に浮かんだ感情を浮かんだままにしておかないで、すぐに言葉にして外に出す、相手に伝える、
という風に意識して実行していくと、だんだん慣れてきて、そこまで意識しなくても自然に今の感情が言葉になって出てくるようになります。
それまでは、いつも、「今の自分はどんな気持ちかな」って自分の心の中に浮かんでいる感情を探して言葉にする、という作業を意識して繰り返すことが必要だと思います。
ポジティブな感情は積極的に言葉で伝える
特に、嬉しい、楽しい、好き、といったポジティブな感情は、相手に言葉で伝えるだけで、相手との距離感を縮め、信頼関係を築くのにすごく役立つので、自分の心の中に浮かべておくだけでなく、浮かんだら積極的に言葉にして相手に伝えることが大事だな、と私は思っています。
まとめ
気持ちを言葉にするという手法は療育でも使われる
この方法を実践するようになってから気付いたのですが、実際に、発達障害児の療育の場でも、発達障害児に「自分の気持ちを言葉にして相手に伝える」練習をさせる、という療育の手法もあるそうです。
というのも、発達障害児は、定型発達児と比較して、自分の気持ちを言語化して相手に伝えるのが苦手な傾向にあるからなんだそうです。
私も気持ちを言葉で伝えるのが苦手だった
私も、子供の頃から、この方法を実践する前までは、ずっと自分の気持ちを相手に伝えるのはすごく苦手でした。心の中では色々な感情が渦巻いていても、それを言葉にするという発想そのものがなかったり、人からもっと自分の感情を言葉にした方がいいと言われても、どう言葉にしていいかわからなかったり。
障害者雇用で余裕が生まれたからこそできた
そんな私が、なぜ、上記のように自分の感情を逐一言葉で相手に伝えられるようになったのか。
それは、発達障害者として障害者雇用で、仕事面での配慮がされた安心できる環境で働けるようになったことが大きいと思います。
仕事の作業そのものに奪われるエネルギーが減り、その分、職場でのコミュニケーションに取り組む方にエネルギーが廻せるようになったからです。
私は仕事もコミュニケーションも両方が壊滅的にできなかったので、定型発達として働いていた時は、仕事そのものをなんとかこなすことに全てのエネルギーを使い果たして、それ以外の職場でのコミュニケーションに割くエネルギーが全く残っていなかったんですね。
なので、改めて、障害者雇用を選んだ自分の選択は自分にとって必要な選択だったんだな、と思いました。