最近は、5歳以降も発達障害の検査が行われるらしい
なんでも、「発達障害」がここまで認知される以前は、発達障害の検査は3歳の検診で引っかからなければそれ以降の年齢では行われていなかったそうなんですが、
最近では、3歳時検診で問題なくても5歳時以降の年齢でも発達障害の検査が行われるそうです。
なぜかというと、
「自閉症スペクトラム」という考え方でいうところの「発達障害特性の薄い子供」が、今までの3歳時検診では拾うことができず、その後の小学生~大学生までの間に問題が出てきても何の支援も受けずに苦しみ、社会人になってやっと発覚する、
というパターンが多いため、そういう子供をできるだけ早い段階で発見し、早期療育をするためだそうです。
発達障害グレーゾーン児も検査で引っかかるようになってるらしい
また、その検査では、発達障害グレーゾーンな子供も引っ掛けます。
なぜなら、「発達障害」という障害は、ここから障害でここからが健常と明確に線引きできるものではなく、「自閉症スペクトラム」という考え方の元、連続性のものであり、障害特性の濃淡でとらえるとされています。
なので、
「グレーゾーンである」ということは、発達障害において「障害」とされるレベル(日常生活や社会生活に支障をきたすレベル)に到達していなくとも、薄い発達障害特性は持っている
と考え、そうした子供にも早期療育は効果がある、とされているからです。
発達障害グレーゾーン児に療育は必要?
でも、発達障害グレーゾーン児の親御さんは、
うちの子はこんなにしっかりしてるのに療育なんて必要ないんじゃないかしら?
と思う方も多いのではないでしょうか。
でも成人発達障害当事者として、私個人としては、グレーゾーン児でも何らかの療育、支援はあった方がいいと思っています。
よく療育を受けさせるか迷っている親御さんの中には、療育の効果を疑っている方がいらっしゃいます。
本当に効果あるの?
親の私が家庭の中でしっかりケアすれば療育まで必要ないんじゃない?
という考えですね。
発達障害グレーゾーン児に早期療育が必要だと思う理由
療育を受けることで、
強いこだわりが軽減する、あるいはコントロール方法を学ぶ、
コミュニケーション能力が向上する、
など、特性に対する直接的な効果への着目ももちろん大事です。
しかし、それ以上に、療育を受けることで、
- 親以外の客観的な目線で、長期に渡って子供の経過を把握し理解してもらえる
- 子供からすると、親以外の相談相手ができる
- 早期から子供本人が自分の特性を理解していくことで、自分に合った職業に就くための準備が十分にできる
- 早期に発達障害特性の対処法を身に付けていくことで、結果的に二次障害を防ぐことができる
という点が非常に大きなメリットだと思うのです。
以下でそれぞれのメリットについて簡単に説明します。
早期療育のメリット
親以外の客観的な目線で、長期に渡って子供の経過を把握し理解してもらえる
子供がどんな悩みを持っているのか、どんなことが困難なのか、時として、親という近い目線、一方向からの目線だけでは見えてこないこと、見逃すことが意外とあると思うのです。
子供からすると、親以外の相談相手ができる
また、就学前までは親になんでも相談していた子供でも、就学し、プライドのようなものが育ってきた場合、親だからこそ知られたくない、相談したくない、ということもでてくると思います。
そんな時に、親以外の、幼い頃から自分のことを見守ってきてくれ、自分のことをよく理解してくれる信頼できる大人が近くにいる、というのはとても重要だと思うのです。
早期から子供本人が自分の特性を理解していくことで、自分に合った職業に就くための準備が十分にできる
また、発達障害者で一番困ることは、大人になった時に会社の人間関係に適応できなかったり、仕事自体に適応できなかったりして、就労できず、生活費が稼げなくなることです。
そのため、発達障害児はできるだけ早い段階で、自分の得意分野、不得意分野、好きなこと、嫌いなことを把握し、どんな職種ならできそうか、ということを具体的に考えてそこに向かって勉強や人生設計をしていく必要があると私は思います。
親だけでなく、子供自身も自分の長所を生かした職種を目指す、ということを意識することで、勉強に興味を持てない子供も真剣に取り組むことができるようになるかもしれません。
私が思う、発達障害者の理想的な状態
そうして、長所を伸ばしていき、
何らかの専門職に就き、コミュニケーションは難ありでも、専門知識、技術力が高いから会社内で見逃してもらえる、もしその会社で人間関係が悪化して退職したとしても、専門技術があれば転職しやすい、
という状態になるのが私は理想だと思います。
コミュニケーション障害の改善には往々にして時間がかかります。その改善が社会人になった時に十分でない可能性も十分考えられます。
しかし専門技術なら、本人に向いてさえいれば、やったらやった分だけ身に付きます。
なので、コミュニケーションの難をカバーできるくらいの専門技術を身に付けることに主眼をおいた方が効率的である、という考え方です。
社会に出てから気づくのでは、その後の人生の選択肢が少ない
そして、そのためには、大学を卒業して社会人になってから自分の適職に気づき、専門職を目指すのでは遅いのです。
もちろん、卒業してすぐなら方向転換もしやすいかもしれませんが、それにしても様々な苦労があると思います。
転職する職種が今までの仕事と全く別の専門職ならなおさらです。そして、発達障害に向いているとされる職種は、大抵専門職です。
早期に発達障害特性の対処法を身に付けていくことで、結果的に二次障害を防ぐことができる
さらに、二次障害をいかに併発させないか、ということも重要です。
発達障害特性は軽度でも、二次障害の鬱、対人恐怖症、トラウマ等のせいで仕事を続けられない、
というケースも多々あります。
二次障害を併発させないためには、幼い時期から、発達障害特性による問題を把握し、その対処法を講じ、トラウマの元となる挫折体験が積み重なることを回避する、自己肯定感を低下させない、ということが必要になってくると思います。
発達障害グレー児だからこそ早期療育が必要だと思う理由
将来を楽観視し過ぎて判断を誤る
私は、発達障害グレーゾーン児だからこそ、早期療育が必要だと思っています。
なぜなら、発達障害グレーゾーン児は発達障害特性が薄いあまり、学校という場ではあまり問題が顕在化せず、社会人になってやっと、コミュニケーションの問題や特性による仕事への不適応が自覚されることが多いです。
なので、療育を受けていないと、他者の客観的な視点がないため、小さな問題の奥に隠れている大きな問題に気づけず、学生時代は本人も家族も、多少の問題は自覚していても、
まあなんとかなるだろう
大学までいけたんだから会社で働けないほどではないだろう、
と甘く見積もり、適職を見据えた勉強が十分でなかったり、進路の選択を誤ったりしてしまいがちだと思うのです。
療育をしておけば…と後悔しても時間は元に戻らない
発達障害は、親御さんからすれば幼児期に診断されるほうがショックかもしれませんが、現実には、大人になってから診断される方が、診断後の選択肢が少ない分、困難さは大きいと思います。
幼児期に診断を受けるなり、療育を受けるなりしておけば、社会に出るまでに、講じることができる対策の数、それにかける時間、選べる職種の数など、圧倒的にメリットが多いです。
大人になってから、やっぱりあの時療育を受けておけば、と後悔しても時間を戻すことはできません。
やらないで後悔するよりやって後悔した方がいい、という考え方をもってして、私は発達障害グレーゾーン児こそ、早期療育を受け、大人になってから初めて問題を把握するという事態を回避するべきだと思うのです。
まとめ
ものすごく長い文章になってしまいました。
上記の私の考えは、私の実体験を根拠にしています。
例えば、私は実際に、発達障害特性によるコミュニケーションの失敗で、小学生時代に、悪口を言われたり、仲間ハズレにされたり、そもそも友達ができなかったりと様々な問題を抱えていましたが、親にも誰にも相談できませんでした。
子供には、親だからこそ、言えないことがある
子供にとって、「自分はいじめられている」なんて親に言うということは、自分は他人から好まれない、他人から価値が低いとみなされた人間だと自分で認めることになります。それはとても惨めで辛い作業です。私はその作業が辛すぎて親に相談できませんでした。
また、親に対して信頼感を持てていない、愛着障害を抱えている子供であれば、「どうせ親に言っても理解してくれない。親に何ができるんだ。」という思いで相談しないケースもあるかもしれません。
そんな時に親以外の信頼できる、自分をよく理解してくれる大人がいてくれたら、どんなによかったか、と私はおもいます。
もう私の人生は過去に戻って変えることはできません。
でも、これからまだまだ可能性のある発達障害のお子さんには、私のような失敗はしてほしくない、こんな辛い思いはしてほしくない、という思いがほとばしりすぎて長文になってしまいました。