成人(大人)が発達障害の診断を受けることによって得られるメリット。

広汎性発達障害、アスペルガー症候群、自閉症スペクトラム、特定不能の広汎性発達障害(PDD-NOS)等、
成人になってから診断される、知的障害のない発達障害には、
個々の特徴によって様々な呼び名があります。

現在、精神医学的には、
上記の呼び名は全て「自閉症スペクトラム」という名前に統合される方向で、
既に、診断基準からは「アスペルガー症候群」という名前は削除されているそうです。

正直、私は、発達障害の診断名の違いについては、
あまりよく知りません。

私にとって診断名は、スーパーの食品に貼られたラベルのようなものだからです。

スーパーの食品が、どんなラベルを貼られようとも、
最終的には中身の味や素材が重要であるのと同じように、
上記のうちのどの診断名がつこうとも、私の障害特性は変わらないわけで、
どの診断名になろうとも、
私の障害による困難さが軽くなったり、重くなったりするわけではないと思うのです。

でも、
どのラベル(診断名)がつくかはそう問題でなくとも、
ラベル自体をつけてもらえるか、もらえないか
ということは重要な問題で、

診断名が付くか付かないかでは大きな違いがあると私は思います。

今回は、発達障害の診断を受けることに躊躇している方に対して、
診断を受けることのメリットについて、私なりの考えを書いていこうと思います。

発達障害の診断を受けることによるメリット

私的には、発達障害の診断を受けるということに、
デメリットはゼロだと考えています。
つまり、メリットしかないということです。

診断を受けたからといって、別に誰かに言う必要もないし、
自分から人に言わない限り、会社や知人にバレることもないです。

発達障害の診断が付くことによって得られるメリット

発達障害の診断が付くことによって得られるメリットを具体的に挙げると、

  1. 福祉サービスを受けることができる。
  2. 周囲からの、自分の困難さに対する理解が得やすくなる
  3. 自覚のなかった自分の障害特性に気付き、理解することで困難さを軽減させることができる。

といった感じだとかなと。
以下にそれぞれのメリットの具体的な内容を書こうと思います。

1.福祉サービスを受けることができる。

これについては、診断後すぐに受けられるわけではなく、
障害者手帳を申請し、
その手帳の等級によって受けられるサービスが違います
また、自治体によっても受けられるサービスが変わります。

ここで、初めて申請する方は混同しがちですが、
障害者手帳の申請と障害年金の申請は別物です。

障害者手帳の申請は、
きちんと診断を受け、困難さが医師に十分に伝わっていれば、
障害年金の申請のように、「申請したけど通らない」ということはまずないです。
(もちろん等級は思い通りにならない可能性はある。)

書類の量も、記述量も、障害年金の申請と比べれば、ずいぶん少ないです。
だいぶ前なので、記憶がおぼろげですが、
確か医師に記入してもらう紙が一枚と、
自分で書く紙が一枚で、文章の記述欄も50文字分とか、
それぐらいの大きさしかなかったように思います。

また、手帳の申請と同時にたいてい、
「自立支援医療」の申請も病院の窓口で勧められるのですが、
この「自立支援医療」に申請すると、薬代や診察代がかなり割引されるので、
同時に申請することを強くおすすめします。

ということで、一概にどのサービスが受けられるとは言えないのですが、例を挙げると、

  • 就労支援
  • 美術館無料
  • 携帯料金割引(こちらは携帯会社に確認)
  • 自動車税の免除

といったサービスがあります。

就労支援に関しては、
どの自治体でも受けられます。

障害者雇用を考えているなら、
診断と障害者手帳は必須ですが、

障害者雇用でなく、一般の会社で障害をオープンにして働きたいという方も、
「就労移行支援」などの就労支援を受ける際には障害者手帳が要求されるので、
その前段階として、発達障害の診断を受けることが必要になってきます。

2.周囲からの、自分の困難さに対する理解が得やすくなる

これは、普段から接する機会の多い、家族や友人等に対して、特に影響が大きいと思います。

発達障害は目に見えない障害ゆえに、
その困難さが理解されにくいです。

何の客観的根拠もなしに、
あれが苦手、これが苦痛、と訴えても、
「ただの甘え」「わがまま」としか捉えてもらえない場合が多いです。

特に、成人(大人)になってから発達障害を疑い始めた場合
なんとか自分で困難さに対処して、
学生時代はギリギリの状態でもなんとか乗り切ったけど、
でも社会に出てみてついに限界が来たというパターンが多いのではと思います。

そういう場合、
困難な学生時代は特別な支援を受けることなく、
全ての苦痛を自分の中に溜め込んできてしまっている場合が多いので、

自分は学生時代から困難さがあったと思っていても、
親や兄弟からしたら、

「今まで普通に学校に行って、普通に暮らしていた人間が、
障害者なわけがないだろう。甘えだ!」

となってしまうのです。

そうした時、診断という客観的な根拠があると、
「理解する気もない」という状態から、

「本当に我が子は発達障害なんだろうか」
「発達障害とは一体何だ?」

と、すぐに理解する段階にいかなくとも、
「とりあえず、発達障害について考える」という、
理解するための準備段階にもっていくことは可能だと思います。

ちなみに、私の発達障害の知人は、
診断を受ける前は、「甘えだ」「そんな考えだから、いつも仕事が続かないんだ」と散々、
家族全員から責め立てられ、精神的に追い詰められた時期があったそうなのですが、
診断を受けた後、家族の態度がころっと変わって理解を示すようになったと言っていました。

知人の例から言っても、診断という客観的な根拠は重要だと思います。

3.自覚のなかった自分の障害特性に気付き、理解することで困難さを軽減させることができる。

発達障害という新しい切り口で自分をみてみると、

今までは見えてこなかった自分像、
知らなかった部分が見えてきて、自分をより深く知ることができます。

たとえば、今までは、
自分は頑固で気の使えない我儘な性格なんだと思い、
自分を責めていたことも、

「これは発達障害のこだわりという特性からくる症状なんだ」

と思うことで、「性格の悪さを直す」という対処方法から、
「こだわりをコントロールしてうまく付き合う」
という対処方法に切り替えることができます。

そうすることで、
自分を責めることなく、他者との摩擦を最小限に抑えることが可能なのです。

実際、私も「性格」ではなく「症状」と認識することで、

「今私はこだわりという症状が発動している状態で、
きっとこういう部分にこだわりを感じてしまっているので、
このこだわりは必要かどうか考えてみよう」

という風に、冷静に自分の状態を分析し、
感情や行動を抑制することができるようになりました。

「性格」だと思っていた頃は、
なぜ自分がイライラするのかもわからないし、
異常にこだわっている状態であることにも気づかないので、
感情や行動をコントロールできず、
職場の同僚や友人との人間関係やコミュニケーションがぎこちなくなり、
家に帰ると自分を責めるの繰り返しでした。

診断を受けることで、
自分の感情や行動の原因を正確に把握し、
分析することができるようになり、
今まではどうにもできないと思っていた自分の問題点をコントロールできるという点で、
診断を受けることの意義は大きいと思います。

また、診断を受けることで、
自分への理解が深まると同時に、
他者(定型発達者)と自分との違いも自覚し、
結果的に定型発達者への理解も深まります。

そうすることで、例えば、

「今まで自分はこう認識していたけど、
もしかしてあの時の同僚の態度や言葉は違うことを意味していたのかも」、

「もしかして、あの時、上司はこういうことを求めていたのかも」

というように、
今までは全く理解できなかった職場の同僚の態度や言葉の意味がわかるようになったりします。

もちろん、完全ではないですが、
職場の同僚や友人を「自分とは違う感覚を持っている人達なんだ」
と認識しておくことで、気付けることが多いと思います。

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