発達障害とHSP。他人の感情に敏感すぎるという特性。

皆さん、「HSP」という概念、特性をご存じでしょうか。

私は、アスペルガーのような特性を持った「特定不能の広汎性発達障害(PDD-NOS)」と診断されていますが、
と同時に、「HSP」でもあると、主治医に診断されました。

「HSP」は、現在の精神医学会の中では、あまり広く認知されている概念ではないようです。
しかし、私にとっては、「発達障害」という概念と同じくらい私を救ってくれた考え方です。

「HSP」という考え方は、
自分で自覚しきれていなかった自分の特性を理解することに、大いに役立ってくれました。
「発達障害」という概念だけでは説明しきれない自分の特性の一部を、
「HSP」という概念が補完してくれました。

私の特性は、
「発達障害」という概念だけでは説明しきれないし、
かといって、「HSP」という概念だけでも説明しきれません。

「発達障害」としての特性と、「HSP」としての特性が合わさったもの、
それが自分の特性なのだと、今では思っています。

「HSP」とは?

「HSP」というのは、「Highly Sensitive Person」の略です。
つまり、「敏感すぎる人」という意味ですね。
2000年に、アメリカの心理学者エレイン・N・アーロン博士が提唱した新しい概念です。

私もまだ、あまり詳しくはないのですが、
要するに、全ての物事に対して、普通の人が気づかないぐらいの微量な変化や現象を、
非常に敏感に感じ取ってしまう人のことを言います。

それは、例えば、

普通の人は気にならないような音も、うるさいと感じてしまったり、
普通の人は気づかないような匂いを感知して、臭いと感じてしまったり

といった、音や匂い、あるいは視覚的刺激といった物理的な事柄に対する敏感さとして
あらわれることもあります。

また、そういった物理的刺激だけではなく、

今この人は不機嫌になっている
この人は本心では言っていない
この人は、自分では自覚していないぐらい微量の不快感を心の底に持っている

などの他人のわずかな感情の動きや心理状態を非常に敏感に感じ取ってしまうこともあります。

これは非常に感覚的なもので、
一般的な、相手の表情や仕草など、目に見える情報から論理的に推測して、
相手の心理、感情を推し量る行為とは全く違うものです。

頭の中で相手の感情を読もう、探ろうと、色々思考をめぐらせることなどしなくても、
有無を言わさず、直接的に、直感的に、相手の感情が伝わってきてしまうのです。
頭の中に直接、相手の感情が入ってくるような感覚です。

第六感と言われるような感覚に近いものなのかもしれません。

そんな風に言うと、

第六感とかなんか怪しげなこと言い出した、、、
高価な壷とか売りつけるパターンか、、、

と思ってしまう方もいるかもしれません。
私も自分で書いてて、第六感とか怪しすぎる、、、
とは思うんですが、ほんとに感覚的なものなので、
言葉で説明するのがものすごく難しいんですよね。

たぶん、この感覚は、
わかる人には、当然のようにわかる、
わからない人には一生わからない、
といった類のものだと思います。

私のHSP特性

「発達障害」、「アスペルガー」といえば、

空気が読めない、
相手の立場に立って考えられない、
相手の感情に共感できないがゆえに、言外の相手の気持ちを汲み取れない

といった特性があると言われることがあります。

私は、自分は発達障害特性は明らかに持っていると思っているのですが、
いまいち、上記のような、相手の感情がわからない、というような特性に関しては
なんとなく、当てはまらないような気がしていました。

というのも、相手の感情はわかりすぎるぐらいわかる、
と感じることが多いからです。
ただ、わかっても、
なぜ、相手がその感情を抱くに至ったか、その原因がわからない、
どういう言葉をかけるべきなのか、
どう行動するべきかがわからず、
普通の人が言わないような発言をしてしまったり、
非常識な行動、人に不快感を与えるような行動、発言をしてしまう、
というのがいつものパターンでした。

この、「相手の感情がわかる」といのは、
一般的な「共感能力」を発揮してわかる、というのではなく、
あくまでも、HSP特性による、直感的に感情を感じ取る能力によるものです。

そして、感じ取った感情に対して、
なぜ相手がその感情を抱くのかがわからない、
社会的に正しいとされる対処ができない、
といった部分は発達障害特性によるものだと思います。

HSP特性による他人の感情の感じ取り方

他のHSPの方の他人の感情の感じ取り方を詳しく聞いたことはないので、
ここからは、あくまでも私がどんな風に感じ取るか、という話になります。

ただ、私の感じ取り方を発達障害の勉強会で話すと、

自分も同じように感じる
こんな風に感じるのは自分だけだと思っていた

などと、けっこう共感してくださるHSPの方もちらほらいらっしゃったので、
全く私個人のみに限られた感じ取り方というわけでもないと思います。

感情は「境界がぼやけたカラフルな地層」のようなイメージとして感じられる

まず、私は、他人の感情は、
薄くて、透過性の、色のついた布が幾重にも重なった層のようなイメージとして感じられます。
あるいは、水彩画のように境界がぼやけて曖昧な色の重なりでできた、カラフルな地層のようなイメージ。

実際にそのような画像が写真のように鮮明に見えるわけではなく、
あくまでも、イメージとして感じるということです。

これは、表現がすごく難しいんですが、
見えるのではなく、感じるのです。

これでもわかりずらい方は、目を閉じて、何かわからない物を触っている時の感覚を想像してみて下さい。
目を閉じているから何も見えません。
でも、触っていると、
感覚として、軟らかい、硬い、冷たい、温かい、塊、重なり、などを感じ、
自然と自分が今触っている物のイメージが頭に浮かんできませんか?

その触った感覚を総合して「頭の中にイメージが浮かぶ」という感覚、
それに近いかもしれません。

HSP的な感情の感じ取り方は、
その触った感覚などの物理的な感覚を通さずに、ダイレクトに脳にイメージが入り込んでくる感じです。
でも視力で見ているわけではないし、画像を思い浮かべたりしているわけでもないので、
この形、この色、というようにイメージを限定的に言うことはできないんです。
物理的な枠にはめ込めない感じというか、目に見えない感情というエネルギーを感じるという感じでしょうか。

自分で言っててますます怪しい感じがしてきました(´ー`)
言葉で説明しようとすればするほど、怪しくなってきちゃいますね。

相手が自覚していないような微量で短期的な感情までも感じ取る

やっかいなのは、相手が自覚していないぐらい微量で、
かつ、短期的ですぐに消えてしまうような感情までも感じ取ってしまうということです。

本人が自覚していない感情は、感情の層で言うと、一番下の方の層で、
微量であれば、層の幅が狭い、といったイメージです。
層の上の方は、本人が自覚している感情の層です。

例えば、

相手の発言に対して、ちょっと嫌だなと思うけど、基本的にその人のことは好意的に思っている

という場合は、この「ちょっと嫌だな」の部分が「短期的な負の感情」です。
ちょっと嫌だなと思っても、次の日には忘れてるか、そんなに気にしてない程度の、
すぐに消えてしまうような感情です。

この「ちょっと嫌だな」は、本人が自覚して感じている場合もあれば、
はっきりと自覚せずに、感情の層の下の方にある場合もあります。

そういった短期的で微量な感情を、普通の人は全く感じ取れないレベルで、
いちいち感知してしまうのがHSPの特性です。

相手は次の瞬間には忘れてしまうような一瞬の負の感情であっても、
いちいち感知してしまうので、ものすごく疲れてしまうのです。

なので、感情表現豊かな人や、負の感情を言葉や態度ですぐに表に出す人と一緒にいると、
それだけで、ぐったりとしてしまいます。

ここまで、「感情を感じ取る」と表現してきましたが、
さらに正確に表現すると、
感じ取るというより、相手の生の感情がそのまま、自分の頭の中に入り込んでくるような感覚です。

相手の感情が入り込むと、まるで自分自身がそう感じているような感覚になります。
だから、相手がイライラしていると、自分も理由もなくイライラしてしまいますし、
相手が悲しんでいると、理由もなく悲しくて悲しくてしょうがなくなります。

例えば、人がたくさんいる場所では、人の感情が溢れています。
なので、
通りすがりの人がイライラしているだけで、
その人の感情が自分の中に入ってきて、イライラしてしまいます。
誰かが通りすがる度に、他人の感情を体験します。

町で、親に叱られて泣いている子供の横を通っただけで、
子供の感情が自分に入り込み、
息も苦しくなるほどに、悲しくて悲しくてしょうがなくなります。

私は特に母性が強いわけではなく、むしろそういった感情は薄い方です。
それなのに、そんな状態になってしまうのです。

というわけで、HSPの人は人の多い場所が苦手な人が多いそうです。

いつも正確に感情を感じ取れるわけじゃない

感情を感じ取れるといっても、いつも、はっきりと感じ取れるわけじゃありません。
正か負かの大雑把な判別しかつかなかったり、
どちらともつかない、モヤモヤとしたものとして感じることもあります。

また、感じ取った感情は、曖昧で複雑な層になっていることも多いです。
そうなると、感じ取った感情のイメージを解釈する段階で、
ズレた解釈をしてしまうこともあると思います。

ただ、解釈がズレることはあっても、大まかな方向性というか、
感情の概要のようなものを全く取り違えるということはないと思います。

相手の感情なのに、なぜそんなことがわかるのかと言われれば、
物理的な証拠とか、論理的根拠を示すことはできないので、
私の個人的な経験上、そうだったからと言うことしかできません。

まとめ

HSP特性による感情の感じ取り方を、HSP特性のない人に説明すると、

被害妄想じゃない?
それって思いこみ、憶測じゃない?

て言われてしまうことが多いです。

そういう人には、私は理解してもらおうと努力するだけ無駄だと思うので、
それ以上は何も言わないことにしています。

例えば、
幽霊が見えない人と同じで、
幽霊が見える人が、いくら、「こんな風に見えるんだよ」と詳細に説明しても、
見えない人からしたら、うさんくさいだけですよね。

それと一緒で、たぶん、同じHSP特性のある人にしかわからない感覚なんだと思います。

あの、他人の感情が直接自分の中に入ってきて、
自分の感情のように鮮明に体験してしまう感覚というのは、
経験したことのある人にしかわからないし、
経験していれば、憶測とか被害妄想とかとは全く違ったものであることが、
当たり前のように、理解できると思います。

おすすめの「HSP」について書かれた本

以下の3冊は、どれもHSPについて書かれた本です。
私は主治医におすすめされて、3冊とも読みました。

一番おすすめなのは、著者が発達障害専門医であり、「HSP」専門医でもある、
2番目の「気にしすぎ人間へ クヨクヨすることが成長のもとになる」という本なんですが、

「HSP」の基本概念を知らない方は、
1番目の「ささいなことにもすぐに「動揺」してしまうあなたへ。 (ソフトバンク文庫)」という本を読んで「HSP」の概要をつかんだ後に、2番目の本を読むのが、一番、「HSP」という特性を、変に偏ることなく、柔軟な思考で捉えることができていいんじゃないかなと思います。

  • 追記:長沼先生のHSP本の新刊が出ました↓

「敏感すぎる自分」を好きになれる本


こちらの本は、HSPに絞った内容です。
HSP以外の原因にも内容を割いている「気にしすぎ人間へ クヨクヨすることが成長のもとになる」よりも、こちらの方がHSPだと確信されている方にとっては有益だと思います。実際、私も読みましたが、HSPの諸症状に対する具体的対策などが載っていて個人的にはこちらの方がおすすめです。

また、巻末に先生が今年開院された、ホリスティック医療を理念とした精神科クリニックのURLが載っています。HSPの診察もしてもらえるので、興味のある方はこちらのHPへどうぞ。→http://mutsumino.info/

ささいなことにもすぐに「動揺」してしまうあなたへ。 (ソフトバンク文庫)

→HSPの概念を初めて提唱した心理学者エレイン・N・アーロン博士の原著を和訳した本。
アーロン博士の言葉をそのまま受け取りたいならこっちかな、、、。

気にしすぎ人間へ クヨクヨすることが成長のもとになる

→著者は、発達障害専門医であり、HSPの専門医でもある日本人の精神科医。
わかりやすい文章でありながら、その背後に豊富な臨床経験からくる説得力が感じられます。
一番印象的だったのは、「ポジティブ思考も心を縛る鎖になる」という主張。
「無理にポジティブを頑張らなくていいんだ」という安心感を感じさせてくれました。
読んだ後、ほんわかして、なんとなく、ありのままの自分を少し受け入れられる気がしてくる感じ。
最近読んだ本の中では、一番おすすめです。
ぜひ、発達障害の方やHSPの方に読んでほしい。

敏感すぎて困っている自分の対処法

→日本人の医者であり、HSPである著者が書いた本。
具体例が多くて参考になります。

  • HSPと非HSPの、聴覚的情報と視覚的情報の認識方法の違いについては下記の記事でもう少し詳しく説明してあるので、気になる方はこちらの記事をどうぞ

HSPの人は買い物に行くだけで、寝込むほど疲労する。

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